〜 AI関連プロジェクトが増加・その成功率向上へ 〜
本記事は、2025年9月時点の情報をもとに記載しております。
(今後、変更となる場合があります)
はじめに
近年、AI(Artificial Intelligence: 人工知能)や機械学習がビジネスや社会のあらゆる分野で活用されるようになり、AIを実装し課題を解決するプロジェクト(AIプロジェクト*1)の重要性が高まり増加しています。このような状況のなか、AIプロジェクトを成功に導くマネジメント手法の確立や人材(PM)が必須となっております。
*1: AIプロジェクト
データ駆動型のアプローチを採用するなど、AI技術を活用して特定のビジネス課題を解決することを目的としたプロジェクトのことをAIプロジェクトと呼んでいます。これらのプロジェクトは、データの準備と管理、モデルの開発と評価、そしてビジネス目標に沿った運用化を通じて、組織に持続可能な価値をもたらすものになります。
Project Management Institute(PMI)は、プロジェクトマネジメントのグローバルスタンダードを牽引する団体として知られていますが、AIプロジェクト特有の課題に対応するための資格として「CPMAI(Certified Project Management for Artificial Intelligence)」の認定を開始しています。本記事では、このCPMAI資格の概要についてご紹介いたします。
目次
CPMAIとは
CPMAI(Certified Project Management for Artificial Intelligence)は、AIおよび機械学習プロジェクトに特化したプロジェクトマネジメントのフレームワーク、知識体系の習得に関する認定資格になります。AIプロジェクトを成功に導くために、実装・適用するAIのパターンを理解し、CPMAIのフレームワークに基づきアプローチするなど、実践的なスキルと知識を習得した人材を認定するものです。
CPMAIのフレームワークについて
CPMAIのフレームワークは、反復的でデータ中心のアプローチを採用し、AIプロジェクトマネジメントに関連する特有の課題に対処します。AIプロジェクトマネジメントに必要となるアプローチを提供し、AIプロジェクトの成功率を高めます。例えば次のような内容があります。
⭕️ 実装するAIのパターンを分類・明確にして取り組む(7つのAIパターン):

⭕️ AI実装にあたって、反復的に実行するフェーズがありこれらを実行する(6つのフェーズ):

この記事をまとめていて、私の専門分野である、プロジェクト・ポートフォリオマネジメントにAIを適用することを実践してみてはどうかと考えました。
例えば、企業の経営戦略に整合したプロジェクトの選定や優先順位付の部分です。これをイメージすると次のような感じでしょうか。(データの理解、準備が肝になることは容易に想像でき、簡単ではないですが)

私は、CPMAIの資格を取得したわけではなく(先日、米国PMIのCPMAIをリードされている方に話を聞く機会があり)少しだけ学び始めただけですが、自ら関わっていることにAI適用を考える良いきっかけになりました。皆さんも、CPMAIに触れていただき、業務などへの活用を検討いただくきっかけになれば幸いです。
CPMAIを取得するメリットなど
CPMAIを学び資格取得するメリット
以下のようなメリットがあるでしょうか。
- 従来のプロジェクトマネジメント手法に加え、AI・機械学習の特性やリスク、データガバナンスなど、AIプロジェクトならではの、課題への対応力を養えます
- AIプロジェクトのライフサイクルに合わせたフレームワーク、実践的な管理手法を学ぶことができます
- PMI認定資格であるため、世界中の企業や組織で高く評価されます
- AI・機械学習プロジェクトの管理ノウハウを体系的に習得し、組織に展開できます
- プロジェクト成功率の向上に寄与できます
- AI関連の人材・キャリア市場での競争力強化につながります
- グローバルなネットワークや最新の業界動向へのアクセスが可能になります
CPMAI資格取得までの流れ
CPMAI資格を取得するためには、以下の手順が必要です。(受験に必要な要件は特にありません)
詳細は、最新情報を含め、PMIのホームページをご参照ください。
以下、PMIホームページに記載されている内容を引用
1. PMIのホームページから、CPMAI資格への申し込みを実施する
Cognitive Project Management in AI (CPMAI)™ v7 – Training & Certification
費用は、PMI会員:699 USD、非会員:899USD
(2025年9月時点の情報です。今後アップデートされる場合があります)
2. 指定されたオンラインコースを受講する
CPMAIコースは、オンデマンド形式で提供され、個人の都合に合わせて受講可能。
(コースを修了するまで90日間の期限がある)
3. 試験の準備をして受験する
100問(120分)の試験。言語は英語(2025年9月14日時点)
試験内容等については、CPMAI Examination Content Outlineを参照ください。
最後に
AIや機械学習プロジェクトは、従来のプロジェクトとは異なる専門的な知識とマネジメントスキルが必要とされます。CPMAIは、こうした最先端の分野で活躍するための強力な武器となります。AIプロジェクトに携わる方、これからキャリアアップを目指す方に、ぜひおすすめしたい認定資格だと思います。
概要を紹介するコース
ご興味のある方は、PMIが提供している、CPMAI概要を紹介するコース(3時間:3PDU、PMI会員は無料、日本語有)がありますのでアクセスしてみてください。
コース名:Free Introduction to Cognitive Project Management in AI (CPMAI)™
私もこのコースを受講してみましたが、概要を理解するにはちょうど良いと思います。日本語化されており(少し誤字脱字等があり、AI翻訳した?かのような内容でしたが)、分かり易かったと思います。
日本における資格保持者数
PMIで、2025年3月頃からこのCPMAIの認定を開始していますが、日本における資格取得者は8名という状況です(2025年9月14日現在、PMIのCertification Registryで調査した結果)。始まったばかりで日本における認知度が低いということや、英語での試験ということもあり、少数にとどまっています。
CPMAIについて日本語化されたものは未だほんの一部ですが、今後その他の教材や資格試験などが日本語化されていくことを期待しています。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。皆さんのご参考にしていただければ幸いです。