大規模プロジェクトにプログラムマネジメントを適用する

〜 大規模プロジェクトを成功に導くための実践ポイント

はじめに

現代のビジネス環境では、複数のプロジェクトが同時進行し、複雑化・大規模化する傾向があります。こうした背景のもと、従来のプロジェクトマネジメントだけでは対応しきれない課題が増えてきました。そこで注目されているのが「プログラムマネジメント」です。本記事では、大規模プロジェクトにプログラムマネジメントの手法を適用する意義と具体的な実践方法について解説します。

大規模プロジェクトが直面する主な課題

日本国内では「大規模プロジェクト」という言い方を良く耳にします。まさに規模が大きく、複数の部門や地域をまたがるもので、複数のプロジェクトやサブ・プロジェクト、関連する施策などを同時並行的に、または順に実施しているものなどでしょうか。以下の図のようなイメージです。

大規模プロジェクトのイメージ

この「大規模プロジェクト」呼ばれるものには、様々な課題があると思いますが、主に以下のような課題があると言われています。

  1. 個々のプロジェクト、サブプロジェクト、施策などの目標が、全体の目標と乖離するなど、ベクトルが一致しておらず関連が明確になっていない
  2. ひとつのプロジェクトやサブプロジェクト等に何らかの問題が発生すると、他の関連するプロジェクト等に影響を与えるなど、リスクの連鎖や影響範囲が拡大する
  3. 長期にわたってプロジェクトを実行するが、途中で様々な変化に直面し、多くのプロジェクトやサブ・プロジェクト等に影響し、それぞれ対処・意思決定が必要となる。
  4. 関連する組織・部門が多くステークホルダーも多岐にわたり、情報共有や意思決定の遅延が発生する
  5. それぞれのプロジェクトでメソッドや評価指標などが統一されておらず、全体を管理する場合の情報の一貫性が乏しく、進捗・課題・リスクなどを正確に把握できていない。

これらの課題に対処するためには、個々のプロジェクトやサブ・プロジェクト単位でのマネジメントだけではなく、全体を俯瞰したマネジメントが不可欠となります。

プログラムマネジメントとは

日本の「大規模プロジェクト」と呼ばれているプロジェクトは、グローバル標準に当てはめてみると、実は「プログラム」という定義に当てはまります。

プログラムマネジメントとは、複数の関連プロジェクトを戦略的に統括・管理し、企業・組織の戦略・目標と整合したベネフィットを創出するマネジメント手法です。プロジェクトごとの成果だけでなく、組織全体の目標達成やビジネス価値の最大化を重視する点が特徴です。

プログラムマネジメントについて解説した記事は以下となります。合わせてご参照ください。

課題に対処するプログラムマネジメントの原理原則・取り組む領域等

プログラムマネジメントのグローバル標準は、主に米国PMI(Project Management Institute)が発行している「The Standard for Program Management」があります。世界各国で普及し浸透しておりますが、このグローバル標準のプログラムマネジメントの原理・原則や取り組む領域については、まさに上述の大規模プロジェクトの課題に対処する内容になっております。

主に取り組むべきもの

これらの中で、主に取り組むべきものは以下だと私は考えております。

1)戦略整合性の確保

企業・組織の戦略と、実行するプログラム(大規模プロジェクト)および配下のプロジェクト等の目標・成果との整合を確保する

2)ガバナンスの構築

プログラムの意思決定プロセスや責任分担、進捗管理の仕組みを明確にし、全体統制を図る

3)リソースの最適配分

プログラム配下の複数のプロジェクト間で、人材、予算、設備などのリソースを効率的に配分し、優先順位をつけて管理する

4)リスクマネジメントの強化

個々のプロジェクトのリスクマネジメントはもとより、プログラム全体に波及するリスクを早期に把握し、対策を講じる。

5)ステークホルダーとのコミュニケーション

多岐にわたるステークホルダーを特定し期待を把握する。情報共有を効果的に実施し、期待値の調整や合意形成を図る

実践ポイント

実践にあたっての主なポイントを以下に記載します。

  • 専門のプログラムマネージャーを配置する:経験豊富な人材をプログラム全体の統括役に任命し、意思決定の迅速化を図る
  • 可視化ツールの活用:ガントチャート(プログラムのロードマップ)やダッシュボードなどを使い、プログラム全体の進捗やリスクを「見える化」する
  • 柔軟な調整と対応:環境変化や予期せぬ問題に対し、柔軟に計画を見直す体制を整える。
  • ナレッジ共有の促進:成功事例や失敗からの教訓を組織内で共有し、継続的な改善を目指す
  • プログラムレベルのPMO(プログラムマネジメントオフィス)を設置し上記のことを実践する

まとめ

大規模プロジェクトでは、単なる個別プロジェクトの積み重ねではなく、全体を俯瞰したプログラムマネジメントの導入が成功のカギとなります。組織の戦略と整合したマネジメント体制を築き、リソースやリスク、ステークホルダーの管理を一元的に行うことで、ビジネス価値の最大化が期待できます。今後ますます複雑化するプロジェクト環境において、プログラムマネジメントは不可欠な手法といえます。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。少しでもご参考になれば幸いです。

プログラムマネジメント標準に関する記事は以下となります。ご興味のある方は合わせてお読みください。

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