組織成熟度による”PMOのアプローチ”(後編)

近年、企業・組織におけるプロジェクトの数が飛躍的に増加し、プロジェクト遂行において、PMO(Project Management Office)の果たす役割は大きく、プロジェクトを成功に導くためには必須の機能となってきていると認識しております。ただPMOといっても様々なレベル(ポートフォリオレベル、プログラムレベル、プロジェクトレベルなど)があり、またPMOが担う役割や実行する内容も企業・組織の状況により異なります。

  • PMOがどのような役割を担い実行すれば良いか?効果的か?
  • 何をもって判断すれば良いか?

といった質問をよくいただくことがあり、組織においても幾度となく議論されてきたかと思います。この記事では、ひとつの手法として「組織の成熟度をもとに検討するアプローチ」をご紹介いたします。先日、第一弾(前編)として、プロジェクトレベルにおけるPMOのアプローチについて投稿いたしましたが、今回は第二弾(後編)としてポートフォリオレベル、プログラムレベルにおけるPMOのアプローチについて記載しております。

本記事は、英国AXELOSのグローバルベストプラクティスであるP3O®︎(Portfolio, Programme and Project Offices)の内容を参考にし、私の方で分かりやすくまとめたものです。ご参考にしていただければ幸いです。

PMOの様々なレベルについて

PMOのレベルとしては、ポートフォリオレベル、プログラムレベル、プロジェクトレベルがあり、そのレベルのよって提供する内容も異なります。

PMOレベルの概要

詳細については、「グローバル標準にみるPMOの種類・役割」で投稿しておりますので、ご参照ください。

近年のPMOの進化

近年は、プロジェクトが増加しプロジェクトへの投資額も増加している状況で、単にプロジェクトを実行し成果をあげることだけでは不十分で、企業・組織へどう貢献するかを明確にし確実に価値を創出することを求められるようになってきました。企業・組織の戦略と整合したプロジェクト、プログラムの取捨選択を実施するポートフォリオマネジメントや、複数のプロジェクトを束ねてシナジーを創出し、企業・組織の戦略と整合したベネフィットを創出していくプログラムマネジメントが注目され、グローバルレベルでは普及しております。

こういった流れにそって、PMOの役割もこれまでのプロジェクトレベルだけでなくプログラムレベル、ポートフォリオレベルに広がり進化・発展している状況だと認識しております。

また、PMO(Project Management Office)という名称も、役割にそって変わってきていると言われています。以下の図は、PMIとpwcが2021年に実施したPMOの名称についての調査結果です。(4,000人以上のプロジェクト専門家を対象とし世界規模で実施した調査結果)

これまでの、プロジェクトの実行にフォーカスしたプロセスやガバナンスの監視(プロジェクトレベル)から、戦略の実行にフォーカスした価値創出型のPMO(ポートフォリオ、プログラムレベル)が求められ、役割も多様となり名称も変わってきている状況です。

ポートフォリオやプログラムレベルのPMOは以下のような役割を担っていくと言われています。

  • プロジェクトを企業・組織の目標に整合させる戦略的なパートナー
  • 経営層のアドバイザーであり、意思決定をサポートする
  • ビジネスへの貢献にフォーカスし、価値やベネフィットをリードする
  • 時代の変化に機敏に対応し、変革やイノベーションを推進する

また、これらのPMOの進化は、2025年2月にPMIより発刊された、Project Management Office: A Practice Guideにも「PMO の進化 – 時間の経過に伴う主な変化」が記載されており、非常に参考になります。(このガイドの概要につきましては、別途機会があればご紹介したいと思っております)

PMOの組織成熟度によるアプローチ(ポートフォリオ、プログラムレベル)

組織において「ポートフォリオマネジメント」および「プログラムマネジメント」がどの程度浸透しているか、組織的なプロセスに組み込まれているかなどによって、PMOの役割は異なってきます。組織において何が不足しているか、何をやればプロジェクトやプログラムの活動が、効果的に企業・組織のベネフィットや価値創出につながるのかを見極める上必要があります。そこで登場するのが「ポートフォリオレベルにおける組織成熟度」および「プログラムレベルにおける組織成熟度」になります。

組織成熟度(ポートフォリオレベル、プログラムレベル)

「ポートフォリオレベル」

組織戦略との整合の観点で、プロジェクトの取捨選択や優先順位付を実施するアプローチ(PfMO: Portfolio Management Office, EPMO: Enterprise Project Management Office)

(表をクリックいただくと拡大します)

「プログラムレベル」

複数のプロジェクトを取りまとめシナジーを創出。ベネフィットを実現し組織目標達成に貢献していくアプローチ(PgMO:Program Management Office)

(表をクリックいただくと拡大します)

皆さんが所属されている組織(コンサル等の方であれば支援されている組織)において、ポートフォリオマネジメント、およびプログラムマネジメントを実行する際に、それぞれの項目(エリア)ごとに、どのレベルに当てはまるかをチェックしてみてください。チェックする項目(エリア)は以下に分類されています。

  • マネジメントコントロール: マネジメントの実行度合い
  • ベネフィットマネジメント: ベネフィットマネジメント(実現計画等)の実行度合い
  • 組織・ステークホルダー : 組織の取り組み(ステークホルダーの関わり)度合い
  • リスクマネジメント   : リスクマネジメントの実行度合い
  • リソースマネジメント  : リソースマネジメントの実行度合い
  • ガバナンス       : ガバナンスの確立度合い
  • ファイナンシャルマネジメント: 財務コントロールの実行度合い

その他にもチェックする内容は多岐に渡りますが、ここではPfMO、PgMOが主に関わる内容である上記の7つのエリアに分類して記載しています。

組織成熟度からPMO (PfMO, PgMO) のアプローチを決定する

上記の組織成熟度(ポートフォリオレベル、プログラムレベル)をチェックした結果から、PMOがどのエリアにアプローチすれば良いかを判断します。

ポートフォリオマネジメントやプログラムマネジメントを未だあまり取り入れていない組織においても、組織成熟度の各レベルを参考に、何から取り組むかを検討していくことが重要になります。

いずれにせよ、近年はプロジェクトの目標を組織戦略と整合させて、プロジェクトに費やす労力や費用に見合った(それ以上の)価値を得られるかどうかで、プロジェクトが成功したか否かを判断することが求められます。PMOがどのエリアにフォーカスしてアプローチしていくかを決めることがひとつの手法として有用です。

以上、2回(前編、後編)に渡って、「組織成熟度によるPMOのアプローチ」を記載いたしました。

少しでも皆さんのビジネスにおいてご参考になれば幸いです。

第一弾(前編)の「組織成熟度によるPMOのアプローチ(プロジェクトレベル)」を未だお読みになっていない方は、こちらからどうぞ。前編:組織成熟度によるPMOのアプローチ(プロジェクトレベル)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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