本記事では、グローバル標準にみる「PMOの種類・役割」についてご紹介いたします。
近年、企業・組織では外部環境や内部環境の様々な変化に直面し、経営戦略を立て、既存ビジネスの維持・発展や新規ビジネス(成長分野等)への取り組み等を実施しております。その取り組みにおいて、多くの様々な施策つまりプロジェクトを立ち上げて実行されているかと思います。
こういった状況において、欧米をはじめとする海外はもちろん、日本においてもPMO(Project Management Office)という機能(組織)が浸透しており、PMOに従事されている方も多い状況です。私がセミナーの講師をつとめさせていただいた際や、プロジェクトマネジメント関連の会合等の意見交換でよく話題になることのひとつに、「PMOの役割について」があります。もちろん「PMOの役割」は、企業・組織の戦略、施策、プロジェクトの内容、数などによって異なると認識しており、まちまちだと思いますが、本来はどうあるべきか?という皆さんの関心や疑問もあると思います。
そこで、本記事では、グローバル標準ではどのように「PMOの役割」を定義しているかについてご紹介いたします。少しでも皆さんのご参考になれば幸いです。
目次
PMOの記載がある主なグローバル標準
私が知る限りですが、PMOについての記載があるグローバル標準は以下 になります。それぞれの標準にはPMOの種類や役割が明確に記載されております。
- PMBOK®︎、The Standard for Project Management(PMI:Project Management Institute)
- The Standard for Program Management(PMI)
- The Standard for Portfolio Management(PMI)
- The Standard for Organizational Project Management(PMI)
- P3O®︎ Portfolio, Programme and Project Offices(AXELOS)
- Project Management Offices: A Practice Guide(PMI)2025年2月追記
グローバル標準におけるPMOの種類と役割について
それぞれの標準書には、大きく分類すると、以下の3つの種類の記載があります。
- PMO (Project Management Office)
- PgMO(Program Management Office)
- PfMO(Portfolio Management Office)〜 EPMO(Enterprise Project Management Office)とも言う
ポートフォリオ、プログラム、プロジェクトマネジメントの各レベルにアプローチするPMOの役割があります。イメージ図を以下に示します。

また、グローバル標準に記載されている内容を表にまとめました。(表をクリックで拡大)

(これらに記載されている内容をもとに筆者が要約)
2025年2月に発行されたProject Management Offices: A Practice Guide(PMI)の内容は、上記には含めておりません。
今後の動向は?
ここでは詳細は割愛しますが、これまでPMOの形態として、指示型 PMO、支援型 PMO、アジャイル PMO などのさまざまなモデルの洞察がありました。これらは相互に排他的なものではなく、これらのモデルは、特定の組織のニーズを満たすために組み合わせることができるオプションとして見るべきという考えになってきております。
このことは、まだ発刊されていませんがPMBOK®︎の次期バージョン(第8版:パブリックコメント用のドラフト版)にも記載があります。最近のアプローチは、柔軟性を重視し、厳格な分類ではなく、各組織の独自のニーズに基づいたより適応性の高いものとなっておきており、PMOの専門家は組織の独自のニーズに対応するカスタマイズされたソリューションを開発することが求められるとあります。この考えの軸となるものは「顧客や組織にとっての価値を訴求し、それに貢献するためにどのようなPMOであるべきかの模索が必要になっていること」があると言われています。
プロジェクトの数が増加の一途をたどり、プロジェクトは複雑化し不確実性が高くなっており、単独のプロジェクトで成果を出すことが難しくなっております。単独のプロジェクトの支援だけでなく、複数のプロジェクトのシナジーを創出しベネフィットを創出することや(プログラム視点)、組織全体の戦略と整合した価値を創出するために、プロジェクトの取捨選択や優先順位付け(場合によってはプロジェクトの中止など)を実行していくことを追求(ポートフォリオ視点)するPMOが求められているといえます。今後さらにこれらの視点でPMOの能力を高めていき、付加価値の高いPMOがますます活躍する時代に突入していることは言うまでもありません。
PMOの国際資格について
PMOに関する国際資格がありますので、少しご紹介いたします。
前述したグローバル標準を発行している団体が、PMOの国際資格を認定しています。主に以下の2つがあります。詳細は割愛しますが、是非PMOに携わっている方はチャレンジされてはいかがでしょうか。
Project Management Office Certified Professional (PMI-PMOCP)™: PMIが認定する国際資格
https://www.pmi.org/certifications/pmo-certified-professional-pmi-pmocp
2024年にPMIがPMOGAというPMOの団体を買収し、PMOGAが認定していた資格をPMIの資格として新たに認定を開始しています。
P3O®︎ Foundation, Practitioner:AXELOS(PeopleCert)が認定する国際資格
https://www.axelos.com/certifications/propath/p3o-project-offices
私はこのFoundation資格を2024年に取得しました。以下の記事に受験体験記を含め記載していますのでご覧ください。
その他(参考図書)
参考図書
拙著「プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの教科書」では、PMO(PfMO、PgMO、PMO等)を含むプロジェクト型組織(Chapter 5)や、プロジェクト人材の育成(Chapter 6)について各章で解説しております。ご興味のある方は是非お手にとっていただけると幸いです。
グローバルベストプラクティス
P3O®︎(Portfolio, Programme and Project Offices)グローバルベストプラクティスです。PeopleCertのホームページの資格申し込みページから購入可能です。またAmazonでも入手可能です。
以上、PMOの種類・役割について記載いたしました。
経営者、コンサルタント、PMO、プロジェクトマネジメント関係者等の皆さんに少しでもご参考になれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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