”プロジェクト成功”についての新たな定義とは

PMI (Project Management Institute)のGlobal Summit 2024にて、プロジェクト成功についての新たな定義が発表されましたので、その情報をお伝えいたします。

従来のプロジェクト成功の定義

最新の情報をお伝えする前に、従来のプロジェクト成功の尺度について少し記載いたします。

皆さんご承知の通り、従来から、プロジェクトマネジメントの成功についての判断指標として、QCDといわれる3つの指標を用いてきたと思います。Qは品質・スコープ、Cはコスト、Dはスケジュール(納期)で、QCDの計画を達成したかどうかを尺度としていました。

例えば、2018年の日経コンピュータの「プロジェクトの成功率」についての記事では、「スケジュール」「コスト」「満足度」の3条件を満たすプロジェクトを「成功」と定義し、プロジェクトの成功率を調査しています。

<2018年の調査:回答者数1,201件、プロジェクト件数1,745件>

スケジュール(D) 順守率 72.3%、コスト(C)順守 81.8%、満足度(Q) 79.0%となっており、QCDの3条件すべてをクリアしたプロジェクトは、52.8%

引用:日経コンピュータ 2018年3月1日号 記事より

ただ、近年では様々観点があり、このQCDだけでは十分ではないという意見が出ていました。

近年のプロジェクト成功についての記載

PMI (Project Management Institute) から2022年に発行された「Process Groups: A Practice Guide」があります。これは翌年の2023年にPMI日本支部監訳版が「プロセス群:実務ガイド」として発刊されていますが、ここにはプロジェクトの成功について、次のような記載があります。

1.12 プロジェクト成功の指標(以下抜粋)

従来は、タイム、コスト、スコープ、および品質というプロジェクトマネジメントの評価尺度が、プロジェクトの成功を定義する際の最も重要な要素であった。最近では、実務者と学者らは、プロジェクトの成功はプロジェクトの目標の達成も考慮して測定される必要があると判断している。

(中略)

プロジェクトの成功を判断するには、組織の戦略やビジネスにおける成果の実現につながる基準が追加されることもある。

出典:プロセス群:実務ガイド. PMI日本支部監訳版 1.12 Page34

最新のプロジェクト成功についての定義

PMI Global Summit 2024 (2024年9月18日)において、プロジェクト成功の定義についてPMI CEOのPierreさんからの発表がありました。その内容が“Reframing Project Success”という記事 https://www.pmi.org/blog/reframing-project-success で紹介されています。

その概要は以下となっています。

出典:The PMI Blog.”Reframing Project Success”.Project Management Institute, Office of the CEO. 19 September 2024(以下、記事内容を抜粋し要約)

また、プロジェクト成功の指標として、Global Net Project Success Score (NPSS)を紹介しています。

Webinarで詳しい内容が紹介されるようです。ご興味ある方は是非視聴してみてください。

Project Success Defined and Measured, on 7 November 2024, 11:00 AM EDT (UTC-4)

個人的な感想

私個人的には、今回の定義はかなり的を得ているように感じています。

「企業・組織の戦略に整合したプロジェクトを選定し、そのプロジェクトに労力と費用を投入し、その結果、企業組織の戦略目標を達成し価値につながる」これがまさに、プロジェクトの成功であり、プロジェクト・ポートフォリオマネジメントやプログラムマネジメントにある考え方と一致すると思います。

以上です。最新の「プロジェクト成功についての定義」について、皆さんはどう感じられましたでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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