プロジェクトの成果が経営に貢献する

近年、企業・組織では、外部環境の変化(感染症、急激な為替変動、長引く紛争など)に直面しながら、既存の事業の維持・発展、および新規事業(成長分野)への取り組みを実施しており、多くのプロジェクトを立ち上げて実行しています。

今や、プロジェクトの成否が、企業・組織の成長を左右するといっても過言ではありません。ただ、これらのプロジェクトが必ずしも成功しているわけではなく、
また、プロジェクトが無事完了したとしても、企業・組織の成長にどう貢献したかが不明確なこともよくあります。

プロジェクト自体を成功に導くプロジェクトマネジメント手法は、これまでPMBOK(Project Management Body of Knowledge)をはじめ、日本でも浸透しておりますが、如何に企業の成長に貢献する「正しいプロジェクト」を見極めて実行するかについては、あまり日本では議論されることが多くはないと思います。
皆さんの企業組織はいかがでしょうか?

日本で良く聞くプロジェクトの話

最近、以下のようなことを耳にすることが多いと感じています。
(時折、私はセミナーの講師をつとめておりますが、その際に参加者の方から次のようなご意見を聞きます)

  • 社内で様々なプロジェクトが増え、同じ人間が複数のプロジェクトに参画する等、工数不足に直面している。本当に必要なプロジェクトを見極める必要がある。
  • プロジェクトの成果が見込めないことが分かっても、途中でプロジェクトの計画を変更するとか、プロジェクトを中止することはあまりない。
  • QCDを計画通り達成しプロジェクトを無事終えたが、あまり評価されない。
  • プロジェクトの成果が、会社の経営計画や経営指標にどう貢献しているか曖昧。

皆さんが所属されている企業・組織ではいかがでしょうか?

プロジェクト・ポートフォリオマネジメントを取り入れる

プロジェクト・ポートフォリオマネジメントは、主に、
・企業組織の経営戦略にそった「正しいプロジェクト」を見極めて実行する。
・プロジェクトの優先順位を明確にして、限られたリソースを投入する。

といったことを実現するマネジメント手法といえます。

具体的には、企業の経営戦略・中期経営計画の取り組み内容や、目標(経営指標)に、プロジェクトの成果がどのように結びついているかを明確にすることを実施します。

プロジェクト・ポートフォリオマネジメントを取り入れることにより、
経営者は、経営戦略や経営計画にそった「正しいプロジェクト」にリソースを投入しビジネスを成長させることが出来、プロジェクトマネージャーやプロジェクト関係者は、「正しいプロジェクト」にて本来の実力を発揮し、経営に貢献することで高く評価されます。

PMIのポートフォリオマネジメント標準

ここでは内容をご説明することは割愛させて頂きますが、Project Management Institute (PMI)が、発行しているポートフォリオマネジメント標準(第4版)があり、経営戦略との整合に関することや(第3章)や、経営指標など価値のマネジメント(第7章)などについて記載されており、どのようにアプローチすれば良いかのヒントが多く得られます。

プロジェクト関係者の努力が報われるために

皆さんが関わっておられるプロジェクトの成果が、企業組織の経営に貢献する

これが理想です。
プロジェクトは複雑になるばかりで、プロジェクトを無事終えるためには、
プロジェクトマネージャーをはじめプロジェクトに関わるすべての人の相当な努力が必要になります。
この努力が必ず報われるように経営戦略や目標と整合を取ることは必ず必要になります。努力が無駄になってしまうことは必ず避けなければなりません。


プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの手法はこのためにあるといっても過言ではありません。

少しでも皆さんのお役に立てればと、今後もプロジェクト・ポートフォリオマネジメントの普及に努めていきたいと思っております。

以上、最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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