グローバルプロジェクトで活躍したい方へのエール(英語克服)
〜 40代半ばからでも、英語に取り組み、何とかなった経験
近年、日本企業は海外進出を実施し、日本だけでプロジェクトを実行することは少なくなってきております。プロジェクトマネージャー、PMO、プロジェクトメンバーは多様化し、共通言語は「英語」ということは決して珍しくありません。
「プロジェクトマネジメント」×「英語」の両面を兼ね備えることが必須となってきております。
ただ多くの日本人にとって、立ちはだかるのは「英語」の壁であることは今に始まった話ではありません。
こういう状況で、少しでも私の経験が皆さんのご参考になればと、この記事を投稿しました。
ぜひご覧ください。
目次
近年の状況(よく聞く話)
ここ最近、日本の企業でも、多国籍の社員が存在し、グローバルメンバーと一緒にプロジェクトを実行するケースなどが多くなっていると思います。外資系企業なら尚更で、様々な国のメンバーと国を越えてプロジェクトを実行することも多くあると思います。言うまでもなくステークホルダーとのコミュニケーションの共通言語は「英語」となります。
このような状況で、「上司からグローバルレベルのプロジェクトリーダーに任命された」とか、「部署移動でグローバルメンバーが関わるプロジェクトに参画することになった」といった話は良く聞く話になりました。
もし、このようなことが皆さんに起こったら、これはステップアップする絶好のチャンスです!
ただ、「英語が苦手だから、どうしようか迷っている」といった話も良く聞きます。多くの日本人にとって、立ちはだかるのは「英語」の壁です。私もそうでした。
「英語が出来ない、苦手だけど、英語でコミュニケーションを出来るようになって、グローバルプロジェクトを担当し、活躍したい!」と思っている方は少なからずいらっしゃると思います。
「プロジェクトマネジメントの知識や経験は豊富なので、英語さえ何とかなれば」という状況の方も多いと思います。
そこで、40代半ばまで全く英語と縁がなかった私が、現在に至るまでどんなことを実施してきたかをシェアさせて頂きます。
現在、私の英語は流暢でもなく完璧でもありませんが、少しでも参考になればという思いで経験をシェアさせて頂きます。皆さんのご参考になれば幸いです。
英語に取組むきっかけとなったこと
私は、全く英語とは縁がなかった日本の企業に長く勤め、40代半ばに外資企業に転職しました。
転職した頃の英語力はほぼ無く、喋ったことも数えるほどでした。TOEICは受けたことがありましたが、TOEIC Listening & Readingテストのスコアは500〜600点台でした。
(今から考えれば、かなり無謀な転職だったのかもしれません)
転職後、最初の2年ほどは上司が日本人だったので、全く問題がなかったのですが、途中からAsia Pacific組織に所属するようになり、上司がシンガポール在住のアメリカ人になり、その後シドニー在住のオーストラリア人になりました。
上司が外国人になったとしても、これまで積み重ねてきたプロジェクトマネジメント経験があるので何とかなると鷹を括っていましたが、これはマズイと認識させられた出来事がありました。少しご紹介します。
経験や知識があるから何とかなると甘い考えを持っていた私にとって、この2つの出来事は衝撃でした。英語が話せないと仕事にならない(というか即首を切られてもおかしくない)ということを強く認識した出来事でした。
この事がきっかけとなり必死になって英語に取組みはじめました。具体的に取り組んだ内容をご紹介します。
英語力向上のために、40代半ばから実施してきたこと
(1) PMBOK®︎の把握(47〜48歳)
仕事内容が、プロジェクトマネジメントやPMO関連でしたので、グローバルで共通のメソッドや語句を英語で確実に理解すべく、プロジェクトマネジメントの世界標準である、PMBOK®︎(Project Management Body of Knowledge)を勉強することからはじめました。
PMBOKは英語版と日本語版の両方を購入し、なるべく英語で理解できるように努めました。
その後、PMP®︎ (Project Management Professional) 資格にチャレンジすることを決め、英語で受験しようかと英語の問題集を手に入れて問題を解いたりしましたが、英語だと明らかに正答率が低く落ちるリスクが高いので、結局実際の試験は日本語で受験。(なんとか合格しPMP®︎ホルダーとなりました)
実際のビジネスで、英語で覚えたプロジェクトマネジメントの用語や知識は非常に役立ちました。
(2) 英語クラスに通う(49〜52歳頃)
プロジェクトの進捗報告や、売上・利益などのKPI報告を実施必要であったため、Speaking力をつけるために英会話学校に通うなど、いろいろ試しました。
ただ正直いってあまり効果が出ませんでした。
ビジネス英語力向上には良いと薦められた有名な英会話クラスはかなり高額で(特にマンツーマンクラスはコスト面で厳しく)、頻度高く通うことが出来ませんでした。また本来であれば数年継続したいところでしたが、これも1年間くらい通うのがやっとでした。
そこで、なるべくコストパフォーマンスが良く、仕事の打合せのように複数の人と一緒にディスカッション出来るようなコースを探し、見つけたのが以下です。
通いはじめてから、仕事でのグローバルメンバーとの会話や打合せ・電話会議などにおいて、少しずつですが発言できるようになったと記憶しています。
Temple University JapanのContinuing Education Program
(テンプル大学ジャパンキャンパスの生涯学習プログラム)
アメリカの大学の日本校で、社会人など誰でも通える生涯学習プログラムです。
私が通っていた頃は、麻布十番(白金高輪)にありましたが、現在は三軒茶屋に移転しています。
(昭和女子大の隣にあり、新しく立派な校舎です)
この生涯学習プログラムには、多くのクラスがあります。
またこの大学が認定している資格もあります。私はここで2015年に
“Certificate in International Business Communication”を取得しました。
(ビジネス関連のクラスに通って一定以上の単位を獲得すれば取得できる)
以下は私が当時実際に通ったクラスです。どれも実践的で即ビジネスに活用できるものばかりでした。
・Business Meetings
・Presentation Skills
・Business Negotiation
・Business Vocabulary & Idioms
・Positive Organization Psychology
・Project Management Practical Application
・Interpretation for Business Purposes
・Business Writing、News Topics、その他
- 各クラスは単に会話するだけでなく、ディスカッションがありますので非常に有意義で英語力の向上が実感できました。
- 各クラスは、週1回(2h) ×10週のコースになっており、私は2年間くらいかけてこれらのクラスに順次参加しました。(クラスは平日夜や週末に設定されていて通いやすい)
- 講師はすべてアメリカ英語を喋るネイティブの先生でした。
- 授業料は各コース6〜7万円程度(週1回 2h×10週)でコストパフォーマンスも良かったです。
- 各クラスは数名から10名くらいの参加者で、私と同じような境遇の日本人も多く(比較的年齢高めの方もいて)励みになりました。また母国語が英語ではない外国人の方もいて、彼・彼女らの積極性は良い刺激になりました。
- 良かったのは、校内に一歩入った途端、いっさい日本語を使わない環境になるということでした。また、図書館(自習室など)も自由に使えます。
現在は、オンライン参加のクラスも設定されています。ご興味ある方は是非、ホームページを覗いてみてください。
Continuing Education | Temple University, Japan Campus100% English-taught. A wide array of courses such as Teachingwww.tuj.ac.jp
(3) TOEICの取組み(57〜59歳頃)
TOEICは、外資企業から現在所属している日本企業に転職した後に、本格的に取り組むようになりました。
外資企業では仕事で毎日英語に接していましたが、転職後は仕事で英語を使う機会が激減したこともあり、書籍や教材などが豊富な「TOEIC L&Rテスト」を受験するようになりました。
2019年〜2021年にかけて年4回くらいのペースで受験しました。私の感想ですが、Listeningはそれなりに高得点をとれますが、Readingは高得点をとるにはかなりの英語力が必要だと思います。Readingは、75分で100問を解きますが、時間が足りず、最後の方は“塗り絵”(マークシートを適当に塗る)になることがザラにあります。
英語力を維持・向上するために、TOEICにチャレンジすることは非常に効果があると思います。
よく「TOEICで点がとれても喋ることが出来ない」とか言われることがありますが、私の経験からはあまりそうは思いません。音読やシャドウイングなど実際に口に出して何度も訓練しないと実際にListeningで高得点を上げることは難しいなど、相互に関連しているからです。
TOEIC L&Rテストは、正確に聞いて、かつ正確に読んで、その意味を咄嗟(瞬時)に判断する英語力が求められるので、取り組む価値が大きいと思います。
ちなみに以下が、私のスコア変遷です。
・2011年、2012年は、上記(2)で述べた英語クラスの取組みを実施する前に受けたスコア
・2019年以降は、外資企業を辞めた後に受けたスコア
”900点の壁”などと良く言われますが、私の場合も2年近くかかりました。2021年に入り2回連続で900点越えを達成できTOEICはひとまず卒業しました。(またその内に再挑戦するかもしれませんが)
(4) 国際資格を取得(59〜60歳)
ある程度、英語が苦にならなくなれば、英語でプロジェクトマネジメント関連の国際資格を取得することがお薦めです。
Project Management Institute (PMI)が認定するプロジェクトマネジメントの上級資格である
・Portfolio Management Professional (PfMP)®︎、および
・Program Management Professional (PgMP)®︎ は、
まさにうってつけの資格だと思います。
英語の申請書を提出することや、英語の複数選択試験をクリアする必要がありますが、しっかりと準備すればパス出来ます。
P3Mオフィス®︎に、これらの資格の概要や対策等の記事を掲載していますので、ご参照ください。
私は、PfMP®︎を2021年8月に、PgMP®︎を2022年8月に取得しました。
特に、グローバルでプロジェクト実行する局面では、大規模かつ複雑なプロジェクト(おそらくプログラム)を共通言語:英語で進めることが必須となります。
国際資格であるPfMP®︎やPgMP®︎を取得し、グローバル標準の原理原則を習得し実践することにより、自信にもつながり、グローバルメンバーも一目を置くようになると思います。
「プロジェクトマネジメント」×「英語」で、グローバルで活躍を!
日本の優秀なプロジェクトマネージャーが世界でもっと活躍すれば、日本の競争力も上がっていくと漠然と感じています。
日本在住のPMPホルダーは44,523名もいます。(2023年12月25日現在:PMI Certification Registryより調査した結果)経験豊富なプロジェクトマネージャーが多くいる証しです。
この中には、既にグローバルで活躍されている方も多くいらっしゃると思いますが、「英語の壁があるので一歩踏み出せない」と思っている方も多いと思います。
近年、「プロジェクトエコノミーの到来」と言われ、企業・組織では多くのプロジェクトを実行し、プロジェクトの成果がビジネスの成長を加速させる時代に突入しています。海外では、これらに対応するために従来のオペレーション中心の組織に加えプロジェクト型組織を取り入れるなどしプロジェクトに力を入れております。ますますプロジェクトマネージャーやプロジェクト関係者が活躍する時代が到来しております。このような状況の中、英語を克服し、世界に飛躍し活躍される方々が増えていくことを願っております。
私は、現在すでに60歳を越えていますが、おかげさまで未だ現役でビジネスに関わる事ができております。また、海外の多くのプロジェクトマネジメントの専門家との交流や、米国PMI本部のボランティア活動など、グローバル視点での活動を続けております。これまでの海外から得た知識や培った経験などから、おかげさまでProject Portfolio Managementの専門家として出版する機会もいただき、グローバルスタンダードに関する解説本を2023年9月に発刊することも出来ました。(この分野の書籍は洋書がほとんどでしたが、やっと日本語の書籍を出版することが出来ました)
これも、今から振り返ると、40代半ばで”英語”に一歩踏み出したことがきっかけとなったことは間違いありません。(今後も更にチャレンジを実施していきたいと思っています)
微力ながら、私の「40代半ばからでも何とかなった経験」を少しでも参考にして頂けたら、嬉しい限りです。
若い方はもちろんのこと、「もう年齢的に遅い」と思っている方の、一歩踏み出すきっかけになれば、本望です。
以上、最後までお読み頂き、ありがとうございました。