PgMP®︎ 資格について (2024年3月Update)

プロジェクトマネジメント協会(PMI)認定のプログラムマネジメントプロフェッショナル(PgMP®︎)を紹介します。PgMP®︎は、世界最大のプロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が認定する国際専門職資格です。日本においてはPMP®︎(Project Management Professional)を取得している方が多いと思いますが、PgMP®︎はPMP®︎の上位に位置つけられている国際資格です。

近年は、状況の変化も激しく、かつ部門横断型の取り組みやグローバルレベルの国を跨いだ取り組みが多くなってきております。これらは複雑で不確実性が高く、プロジェクト単体では成果を上げることは難しく、複数のプロジェクトを束ねてプログラムとして管理し、その成果を上げていくことが求められております。このようなプログラムをマネジメントする上級専門職がプログラムマネージャーであり、その国際資格がPgMP®︎になります。

(注) この記事の内容は、2024年3月時点の情報に基づき記載しています

2024年3月11日にThe Standard for Program Management – 5th Editionが発行されました。

(私も発行前のレビューに携わらせていただきました)

PMI会員の方は、PMIホームページからダウンロードが可能です。また、ペーパーバックはAmazon等で4月1日から販売開始となっております。

これに伴い、PgMP資格試験が2024年3月から変更となりました。申請内容や、ECO、Handbookなども変更となっています。その内容を反映してアップデートしております(主に記事内の黄色下線部分

今後も、詳細が判明次第Updateしてまいりますが、PgMP資格の受験を考えておられる方は、ご自身でPMIのホームページ等でご確認いただくようお願いいたします。

PgMP®︎資格の現状

欧米各国、最近では中国、インドなどでも、上級PMはプログラムマネージャーと呼ばれ、PMの上位のキャリアとして認識されており、グローバルレベルで実施しているプロジェクト等においてプログラムマネージャーとして活躍しており、PgMP®︎資格を取得している方が増えています。

全世界におけるPgMP®︎保持者は5,350名(PMI FACT FILE – 31 December 2023より)となっています。

最近の各国の保持者数を確認したところ(PMI Certification Registry – 2024年3月14日の調査結果より)米国 1,399名中国 1,379名、インド 565名、UAE 180名、オーストラリア 150名、シンガポール 78名、日本は29名という状況です。残念ながら、日本は世界に遅れをとっており、アジア各国に比べてもかなり少ない状況です。

関連記事を投稿しておりますので、ご参照ください。

https://p3moffice.com/2023/10/pfmp-pgmp-trendsupdate20231228/

海外では、PgMP®︎資格取得をサポートする、教育機関やベンダーが存在しており、申請書のサポートや試験対策などを有料で提供しています。PMIが認定するATP (Authorized Training Partner)もPgMP®︎資格試験の準備コースなどを提供しています。また、試験対策本(問題集など)も複数出版されています。

日本では残念ながら現時点でこのようなサポートは無く、日本においてPgMP®︎資格を取得しようと思っても、どうして良いか解らないというのが現状です。

PMI日本支部のポートフォリオ・プログラム研究会では、日本におけるPgMP®︎やPfMP®︎の資格保持者を増やす活動を実施しており、セミナー等を年に数回開催しています。(PMI日本支部のホームページを覗いてみてください)
私自信も、PMI日本支部のセミナーに参加するなどし、なんとか2022年8月にPgMP®︎資格を取得しました!

そこで今回は、日本において少しでも多くのPgMP®︎ホルダーが増えて欲しいとの思いから、PgMP®︎資格の取得方法などについてご紹介したいと思います。

PgMP®︎資格申請・試験について

PMIのホームページや、PgMP®︎試験のハンドブックに記載されている内容を要約してご紹介します。
詳細は、Program Management Professional (PgMP)® Handbook(英文)に記載されています。時折、改定されることがありますので、申込みをされる場合は必ずご確認ください。

資格取得の対象者

組織の目標を達成するために、広範囲に及ぶ(国・地域、文化、組織など)複数のプロジェクトなど複雑なことを実行・管理しているPMなど

受験資格

  • 大学卒の場合、PMP®︎保持(または48ヶ月以上のPM経験)と、48ヶ月以上のプログラムマネジメント経験(過去15年以内
  • 高校卒の場合、PMP®︎保持(または48ヶ月以上のPM経験)と、84ヶ月以上のプログラムマネジメント(過去15年以内)
  • 大学院卒の場合、PMP®︎保持(または36ヶ月以上のPM経験)と、36ヶ月以上のプログラムマネジメント経験(過去15年以内)

受験範囲(準備)

The Standard For Program Management Fifth Edition (英語版)、および
Program Management Professional (PgMP)® Examination Content Outlineを熟読し、プログラムマネジメント標準等の内容について把握する。(両書ともPMIのホームページからダウンロードできます)
また、複数選択試験の問題集(洋書でAmazonなどから購入可能)を繰り返し解くなど問題に慣れておく必要があります。

受験費用

PMIメンバー:$800、PMIメンバー以外:$1,000

資格取得までの流れ(①→②→③)

PgMP®️資格取得までには、次の3つの関門があります。

① 申請書を作成・提出し、PMIに受理されること

② パネルレビューに合格すること

③ 複数選択式試験を受け合格すること

① 申請書を提出し受理されること

申請書を提出し、約10日間でPMIが申請内容を審査。申請書が受理されれば受験費用を支払い、②のパネルレビューにすすみます。

稀に、申請内容に偽りがないか等のauditに選ばられるときがあり、その場合は90日以内に要求されたエビデンス資料等を提出必要となります。

申請書に記載する主な内容は以下。
1) プログラムマネジメント経験
自ら実施したプログラムの経験を記述(英文で約500words/プログラム)。
大卒の場合は48ヶ月以上のプログラムマネジメント経験を記載するが、48ヶ月に満たない場合は48ヶ月以上になるように複数のプログラム経験を記載。
例)ABCプログラム(36ヶ月)の経験と、XYZプログラム(12ヶ月)の経験

2) プロジェクトマネジメントの経験
大卒の場合は48ヶ月以上のプロジェクトマネジメント経験を記載。PMP®資格保持者は、充分な経験があるとみなされ、この48か月の経験を記載する必要はありません。

3) プログラムマネジメントの領域における経験
以前は、5つの領域ごとの経験を記載していましたが、2024年3月以降は若干簡素化され「3つの領域の経験を記載」に変更になっています。3つの領域とは、Program Strategy、Program Governance、Program Leadershipで、決められた質問に応えるかたちで自らの経験を記載します。

PMIが申請書を受理するかどうかは、上記1)の内容で決まります。プログラム経験が乏しい、または記載が不十分と判断されれば、受理されず差し戻されます。その場合は再提出の機会が与えられます。

② パネルレビューに合格する

パネルレビューとは、上記の① 3)の内容を、PMIの経験豊富な特定分野の専門家(SME)が決められた基準をもとに審査するもので、申請書が受理されてから約60日の間に審査が行われ、結果の通知がある。合格であれば、次の③複数選択試験の受験資格を得られます。
不合格であればPMIからメールで連絡があり再提出の意思などを確認されます。PMIからのメールに記載のフィードバック内容に基づき再提出すると再度審査が行われます。この2回目の審査で再度不合格となった場合は、次の③複数選択式試験にはすすめず、資格申請プロセスはクローズとなり、受験費用は返金となります。

③ 複数選択試験に合格する

パネルレビューを合格した日から1年間が、複数選択試験を受験できる期間です。
複数選択試験が不合格になったとしても、1年の間で、最大で3回まで受験できます。

ただし2回目以降は追加の受験費用が必要。
(再受験費:PMIメンバーは$600、PMIメンバー以外は$800)

複数選択試験は、170問(4時間)の試験で、170問の内20問は採点されない問題が含まれます(この20問がどれかは明記されておらず不明)。問題の言語は英語。

プログラムマネジメントの5つの領域から出題され、その出題比率は以下の通りです。
・Strategic Program Management 15%
・Program Life Cycle 44%
・Benefits Management 11%
・Stakeholder Management 16%
・Governance 14%

合格の基準(正答率など)は公表されていません。

この複数選択試験は、国内のテストセンターで受験する形式です。
(Pearson VUEのテストセンターでCBT試験形式:2023年12月時点)
4時間のテストで途中トイレに行くなど離席は可能だが、テスト時間は止まらないので注意が必要。
170問を解き終わり、試験を終えると、試験結果(合否)が画面に表示される。
(合格の場合は、Congratulations!と表示)

PMIのホームページにサンプル問題がありますので、ご参照ください。

Test yourself with sample PgMP exam questions

複数選択式試験問題の対策については、別の記事に記載しておりますので、あわせてご参照ください。https://p3moffice.com/2023/07/pgmptest-prep/

試験準備・対策について

資格取得までに3つの関門があることを記載しましたが、この3つの関門を通してプログラムマネージャーとしての実践的な経験、知識、スキルなどを評価されます。よってプログラムマネジメント標準の内容はもちろんのこと、上位のポートフォリオマネジメントとの関係、プロジェクトマネジメントとの関係を含め、プログラムマネージャーとしての役割や振る舞いなどの全般を理解する必要がります。試験準備や対策を実施するにあたって、知識向上のための参考図書などをご紹介いたします。

必須の標準書等

受験にあたって熟読必要なものは、PMIから発行されている以下の標準書などです。

Program Management Professional (PgMP)® HandbookMar 2024
受験申し込みや受験にあたって把握しておく必要があることが記載されています。

The Standard For Program Management Fifth Edition(英語版)
2024年3月から、Fifth Editionが試験対象となっています。

Program Management Professional (PgMP)® Examination Content OutlineMar 2024
プログラムマネージャーとしての各領域の振る舞いなどが記載されており、この各領域から出題されますので熟読し把握しておく必要があります。

A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK®︎ Guide)

PMBOKガイドはベースとなる知識として必要になります。 

知識向上のための推奨本(日本語)

プログラムマネジメントについての書籍は海外で多く出版されていますが、日本語で出版されているものはごくわずかです。以下はPgMP取得を考えておられる方にお薦めの日本語書籍になります。

  • プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの教科書 (著者:尾﨑能久)

プログラムマネジメントの上位のポートフォリオマネジメントの解説本で、ポートフォリオ、プログラム、プロジェクト全般とそれぞれの関連を理解するためにお薦めする書籍です。 プログラムマネジメントの概要、実践例、プログラムマネージャーの役割などを含め解説しております。

  • プログラムマネジメント教本(著者:アンリ近藤)

プログラムマネジメントの概念、実践、上級PMの能力、上級PM心得八箇条など、プログラムマネジメントの第一人者であるアンリ近藤氏が執筆された解説本です。

その他所感(PMP®︎試験との相違など)

PMP®︎試験との主な相違は、言語が英語ということ、申請書でプログラム経験を細かく記載すること、パネルレビューがあることなどでしょうか。
問題の多くは、プログラムマネジメント標準やPMBOKに関連することから出題されますので、英語といってもプロジェクトマネジメント関連の言葉や用語が主となりますので、それなりの期間をかけて準備をすれば、問題にも慣れてきます。

是非資格取得のチャレンジを!

日本においても、複雑で不確実性が高く、複数のプロジェクトを同時並行的に実施する取り組みなどは、これまで多く実施してきており、日本の優秀なプロジェクトマネージャーがリードして成果を上げてきたのではないでしょうか。プログラムと呼んでいないだけかもしれません。ただ、プロジェクトマネジメントには「PMBOK®️(Project Management Body of Knowledge)」という世界標準があるように、プログラムマネジメントにも「The Standard For Program Management」という世界標準がPMIから発行されております。この内容にそった体系的なアプローチを取り入れて実行することが、成果を創出する近道であるといえます。

プログラムの経験が無いから。。。と言われる方が多いですが、上述のとおり、複雑なプロジェクトを実施しされた経験があれば、そのプロジェクトをよくよく紐解くと、プログラムの定義に当てはまることが多いと感じています。

日本のプロジェクトマネージャーの皆さんやPMP®︎保持者の皆さん、コンサルタントの皆さんなど、是非、プログラムマネジメントを学んでいただき、PgMP®︎資格を取得され、ますますご活躍されることを期待しております!

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

追記:PgMP資格の申請方法について、2024年3月の変更を反映した記事を投稿しました。実際に申し込みをされる際のご参考にしていただければ幸いです。

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