PgMP資格を取得する際に、試験対策で必ず実施しておいた方が良い問題集:「PgMP®️ Exam Test Preparation (著者:Ginger Levin)」をご紹介いたします。受験される方は必見です!
(注)PgMP資格試験は、2024年3月に変更となりました。試験対象は最新の標準書「The Standard for Program Management Fifth Edition」となっています。この記事は2024年2月以前の試験内容に基づき記載しております。ご紹介している問題集等も今後改訂される可能性がありますので、ご注意ください。
目次
PgMP®️資格について
PgMP®️ (Program Management Professional)は、世界最大のプロジェクトマネジメント協会 Project Management Institute (PMI)が認定する国際専門職資格です。
PMIが認定するPMP®️ (Project Management Professional)は日本でも多くの方が取得されていますが、PgMP®️はその上位資格に位置付けられた国際資格です。詳細は別の記事で紹介しておりますのでご参照ください。https://p3moffice.com/2023/07/pgmp-certification/
複数選択式問題について
PgMP®︎を取得するためには、申請書を提出し受理された後、パネルレビューという審査(提出した経験の審査)をクリアし、複数選択式試験に合格する必要があります。この記事では、複数選択式試験の対策として市販されている問題集を紹介いたします。
複数選択式試験については、次のとおりです。
- 複数選択式試験は、170問(4時間)の試験で問題の言語は英語
- 出題範囲は、プログラムマネジメントの5つの領域から出題され、出題比率は以下の通りです。
・Strategic Program Management 15%
・Program Life Cycle 44%
・Benefits Management 11%
・Stakeholder Management 16%
・Governance 14%
- 170問の内20問は採点されない問題が含まれますが、この20問がどれかは明記されていません。
- 合格の基準(正答率など)は公表されていません。
- テスト終了後に試験レポートが公表されます。そのレポートには試験結果の達成レベルの記載があり、Needs Improvement、Below Targetが不合格。Target、Above Targetが合格となっています。
- 上記の5つの領域ごとにターゲットレベルに達しているかどうかが問われます。実際に合格された方の詳細スコアを確認すると、全ての領域がTarget以上ではなくとも合格になっているケース(*)もありますが、5つの領域を満遍なく対策しておくことが必要です。(*)例:レベルTargetで合格(5つの領域のレベル内訳:2つの領域がAbove Target, 1つの領域がTarget, 2つの領域がBelow Target)
(必須)問題集の紹介
少し前置きが長くなりましたが、ここからこの記事の本題です。
複数選択式試験の対策本についてですが、試験が英語ですので、残念ながら日本語で解説されている問題集はありません。(2023年11月時点)
市販されているものは洋書で、いくつかAmazonなどから購入できます。
この記事では、複数ある問題集の中から、必ず実施しておいた方が良い問題集をご紹介します。
それが、「PgMP®️ Exam Test Preparation」(Ginger Levin, PMP, PgMP)です。金額は為替の影響もあり変動したりしますので、実際に以下のAmazonのサイトでご確認ください。
問題集の概要
現在の標準書である、The Standard for Program Management – Fourth Editionに準拠したもので、PgMP®️の世界の第一人者であるDr. Ginger Levinが著者となっている問題集です。
内容については後述しますが、問題文が長めで比較的難しい問題が多く、実際のテストを受ける前には必ず実施しておいた方が良い問題集といえます。実際に日本人で合格したほとんどの方が実施している問題集でもあります。
外観
ペーパーバック(リング製本)となっています。
左の写真:大きさがわかるように、A5サイズの本を横に置いています。
真ん中の写真:リング製本になっています。
右の写真:本文の紙の質は、画用紙のような手触りで通常の用紙よりも厚めとなっています。
サイズは、21cm (W)×27.3cm(H)×2.5cm (D)ですが、リング部分を含めると横幅が23cmほどあり、厚さはリング分を含めると約3.0cmあります。
問題集の構成
大きく分けて、2つのパートから構成されています。「5つの領域およびプログラムライフサイクルにおける問題」と「本番を想定した170問のPractice Test」です。
- 5つの領域およびプログラムライフサイクルにおける問題(各分野ごとの20問ずつの問題があります)
・Program Strategy Alignment (20問)
・Initiating the Program/Program Formulation (20問)
・Planning the Program (20問)
・Executing the Program: Program Delivery (20問)
・Controlling/Program Performance Monitoring and Controlling (20問)
・Closing the Program (20問)
・Program Benefit Management (20問)
・Program Stakeholder Engagement (20問)
・Program Governance (20問)
- 本番を想定した170問のPractice Test(以下の2セットあります)
・Practice Test 1 (170問)
・Practice Test 2 (170問)
問題内容(所感)
- 収録されている問題の難易度は高く、標準書を暗記することに加えプログラムマネージャーとしての役割や経験に基づき判断して回答するような問題が多い印象です。実際の本番のテストではこのような問題が多く出題されております。
- 収録されている問題は比較的問題文の長いものが多いです。実際のテストでは、問題文が短いものから長いものまで多岐に渡ります。問題文が長いものは英語の問題文を読むだけでも時間がかかり、本番では焦ってしまいますので、問題に慣れるためには良いと思います。
- 問題文の多くは、冒頭にシナリオ(ケース)が記載されていて、問題文の後半に質問が記載されています。実際の問題でもこのような問題が多く出題されるため、対策には良いと感じます。
問題の例
実際にこの問題集に収録されている問題そのものではなく、私の方で作成した類似問題です。問題のイメージを掴んでいただくために参考として記載しております。
Question
Assume you are working for a healthcare company. For the past 3 years, every one of your projects in your company has met its goals in terms of QCD. However, one of executives in your company finds that even though its projects are meeting its goals as program components, over all the company is not meeting its strategic goals and objectives. You were asked to meet with the executive to discuss your opinions as what occurring in the company as you are experienced senior project manager. You pointed out that you felt the key problem was:
- The projects were not managed as program components well.
- The programs were not met planned benefits.
- The organization’s strategic goals would change, but the program managers were not aware of the changes.
- The organization has not Program Management Office.
Answer:Cが正解です。
プロジェクトが目標(QCD)を達成したにも関わらず、会社組織の戦略目標の達成に至っていないのは何故かを、プロジェクトマネージャーに確認した際に、プロジェクトマネージャーがどう指摘したかを問う問題です。
- Aは、プロジェクトがプログラムコンポーネントとして目標を達成したにも関わらずと、問題文にあるので、適切にコンポーネントと管理されていないとはいえないので不正解
- Bは、計画されたプログラムの利益を達成できなかったからという理由も可能性としてはあるので、正解の候補(他の選択肢をみて正解を見極める)
- Dの、プログラムマネジメントオフィスが無いという理由は、直接的な原因とはいえない
- Cは、プログラムコンポーネントしてプロジェクトのゴールを達成している(つまり組織の戦略に整合したプロジェクトのゴールを達成している)にも関わらず、組織戦略を達成していないというのは、戦略自体が変更になり、その変化に対応できていないことが想定されるため、Cが正解です。(Bの選択肢よりも明確)
プログラムマネジメントの、組織戦略との整合を確実にマネジメントすることが求められ、この問題は“Strategic Program Management”領域の問題となります。この問題はあくまでも例ですが、このように現実にありそうなケースが記載されていて、プログラムマネジメントの知識や経験をもとに答えるような問題が多く出題されます。この例よりも問題文が長いものもありますので、問題に慣れるためにはなるべく多くの問題を繰り返し解くことをおすすめいたします。
参考:本問題集の正答率
「PgMP®️ Exam Test Preparation」(Ginger Levin, PMP, PgMP)は、前述したように比較的難しく、問題文が長いものが多く収録されています。最低でも80%、可能であれば90%以上の正答率になるまで繰り返し解くことをおすすめいたします。
ご参考までに、実際に私がこの問題集に取り組んだ際の正答率を記載いたします。
初見ではじめて実施した際の正答率は下表のとおり60%台でした。Test1は3周、Test2は2周実施し、それぞれ間違った問題は復習を実施しています。ご自身でトライされた際の参考にしていただければと思います。私の場合は90%の正答率になるまでは実施していませんが、出来る限り正答率を上げてから本番のテストにのぞむことをおすすめいたします。
まとめ
以上、PgMPの試験対策で取り組むことが必須である問題集「PgMP®️ Exam Test Preparation」(Ginger Levin, PMP, PgMP)についてご紹介しました。
今回ご紹介した問題集以外にも、基礎的な問題を中心に収録した問題集や、オンライン学習サイト(Udemy)などにもPgMPのQuestion Bankと称するテスト問題がありますので、併せて実施することが良いと思います。他の問題集やUdemyの問題等については、別の機会にでもご紹介したいと思います。
ここ最近、少しずつですが、日本でPgMP®️資格を取得する方が増えてきました。PMI日本支部ポートフォリオ・プログラム研究会の支援で私がサポートさせていただいた2名の方が先日合格されました!この2名の方も、今回ご紹介した問題集を繰り返し実施されて合格されています。
試験が英語ということもあり、ハードルが高いかもしれませんが、しっかりと準備すれば合格する試験です。
この記事を読んで頂いた方で、チャレンジしようと思っていただける方が少しでも増えることを望んでおります。また、実際のチャレンジにあたって参考にしていただければ幸いです。
補足ですが、プログラムマネジメントを理解する上では、組織戦略との整合など、ポートフォリオマネジメントとプログラムマネジメントとの関連(標準書にも記載があります)など、全体の位置付けを理解することが求められます。試験でも出題されますので、全体を俯瞰した上でプログラムマネジメントを把握しておくことをおすすめいたします。
私の著書「プロジェクト・ポートフォリオマネジメントの教科書」では、プログラムマネジメントの概説を含めポートフォリオ全体の概要を解説しておりますので、併せてご参考にしていただければ幸いです。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。